届かないこの想いを、胸に秘めて。




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でも、私はそんな中村くんが好きです!

一目惚れでした。あの時からずっと。
ずっと、中村くんのことが好きでした。


中村くんの笑顔が好きです。全部が好きでした!





ご静聴、ありがとうございました。
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沢山のシミがつけられた便箋を閉じて、封筒にしまう。

そしてそれをポケットにしまった。

キミの顔が見たくても見れない。



涙が止まらないから。
最後はキミを笑顔で見るって決めていたのに。


もう後半から苦しくて、半泣きしながら読んでいた。



あぁ。もう終わっちゃった。終わっちゃったんだ……。


あとは、キミに振られてしまえば本当に終わる。



この静けさが無性に悲しくさせる。
早く。早くフッて!

もうツラいから。




「長田さん」

「……はい」

「それ、ほんとう?」



優しく語りかける声に何度も頷く。
下を向いたままで。

まだ見せられない。完全に引っ込んでくれないと顔上げられない。




カタッと音がした。

キミが近づいてくるのだと感じていると、視界に上履きが現れた。





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