届かないこの想いを、胸に秘めて。
……え。いま、なんて?
それよりなんで私、抱きしめられているの?
キミの予想打にしない行動にさらに目を大きくさせる。
耳元でキミの鼓動が大きく響く。それに私も響かせた。
「長田さんってかわいいよね」
「っ、かわ……!?」
「だめ。このままでいて」
そして、「聞いててください」と耳元で言う。
抱き締められているからもちろん身動きが出来ないわけで。
ただキミの言葉を待つ。
深く息を吸って、ゆっくり吐き出す音に少し胸が高鳴った。
「俺もね、長田さんのこと好きなんだよ」
時が止まったかと思った。ううん、これは夢なんじゃないかと思った。
でもこれは確かな現実なんだと知る。
だって涙が溢れ出すから。
信じられなくて。嬉しくて。つらかった気持ちが一斉に解き離れて。
キミのセーターにそれが一粒染み込んだ。
それを目にして私は顔を手で覆う。
「俺も好きだよ」
そう言って優しく背中を撫でるから容赦なく涙が溢れてくるばかりで。
私はそのままキミの腕の中で泣いた。