届かないこの想いを、胸に秘めて。
教室の前へやってくるとドキドキが増した。
この学校はクラス替えの表が発表されない。
校長先生曰く、『ドキドキ感を味わさせたい』とか。
だから、誰と一緒になるかは新しい教室に入ってからのお楽しみにさせたい、という校長先生の願いらしい。
私はあるふたりを思い浮かべて思いっ切りドアを開けた。
教室にはチラホラ居て、自分の席に着いている人もいれば、友達と喋っているクラスメイトがいた。
キョロキョロさせながら中へ入っていくと、窓側から2列目真ん中の席で大きく手を振る人物に目が止まった。
「せつなー!」
そう呼んだのは私の友達、香奈恵ちゃんこと西本香奈恵(ニシモトカナエ)ちゃんがいた。