届かないこの想いを、胸に秘めて。





「「じゃーね!」」

ふたりが私に手を振った。私も手を振って2人とは反対方向に歩き始める。


これから委員会の集まりがあるから。

ひとりになると歩く速度をあげて、目的地へ向かった。




ガラッとドアを開けると全学年の美化委員を務める生徒が集まっていた。

その中に片手を上げて大きく手を振っている人物に目を止める。
急ぎ足で向かい、隣の席に座った。

席順は自由らしい。



「長田さん、よろしく!」

元気な声で鴇田くんが私に握手を求める。

その手に少し緊張しながらつかんで、「よろしくお願いします」と言った。








< 32 / 306 >

この作品をシェア

pagetop