届かないこの想いを、胸に秘めて。





今日が暗いからか、それとも緊張が解けたからか。

……多分、両方。


私は窓際の席に座った。

「失礼します」と小さく呟いて。


外を見ると、灰色のかかった雲がたくさんあった。


雨、降りそう。
よかった、折りたたみ持ってきといて。


ホッとしながら少し前のめりになって下を覗いて見た。




「……あ」

小さく声が漏れた。

そこには鴇田くんとサナと呼ばれてる男の子と、キミがいたから。


私の目は見えなくなるまでキミを追いかけていた。




「……ばいばい」

見えなくなったところで、キミの背中に語りかけるように言った。







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