届かないこの想いを、胸に秘めて。
はやく、この赤さをおさめないと!
パタパタ顔を扇いでいると、雨音以外の一つの音に耳が反応した。
「あ、アレ?」
そう言ってキョロキョロするキミがいた。
見つけたんだからすぐ駆けつけて渡せばいいんだろうけど、私は柱の影に隠れた。
……私ってば、なに隠れてるの。
仕方ない。体が勝手に反応してしまったんだから。
キョロキョロしながら頭をかいてる姿に私は小さく笑ってしまった。
……かわいい。
男の子に『かわいい』という言葉は禁句らしいけど、ごめんなさい。
もし、キミに直接言ったら怒るのかな?
そんなことを思いながら私は深呼吸をしてキミの元へ向かった。