届かないこの想いを、胸に秘めて。




だんだんと暗くなっていく気持ちを冷えた水で表面を拭って、私は香奈恵ちゃんの元へ向かった。


昇降口近くの水道所にいる、とメールが届いていたからその場所まで歩く。




香奈恵ちゃんを見つけて、後ろから脅かそうと静かに歩み寄った。


その時。






「──……好きなんだっ」


そんな声が香奈恵ちゃんの隣から聞こえた気がした。






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