届かないこの想いを、胸に秘めて。
とっさに体が動いて、香奈恵ちゃんからは見えないだろうと思う場所に隠れた。
え、まって。
まってまってまって。
なに、この状況……?!
香奈恵ちゃんはモテる。
そんなことは分かりきっているはずなのに。
どんどん黒く心が渦を巻いた。
この奥にある黒い塊をも巻いて。
だって、いまの声は……
キミのものだったから。
信じられなくて、信じたくなくて、あまりにも唐突で、あまりにも衝撃的で……っ。
私はぼやけてきた目を擦って、その場から離れた。