届かないこの想いを、胸に秘めて。





教室から真反対の校舎、職員用のお手洗いに来ていた私。


予鈴がなったのを合図に
誰もいないことを祈りつつ、様子を伺いながら少しずつ前進していくと誰かと目が合った。





──っ!!



ふたりして立ち止まって、数秒見つめ合ってしまった。


私からすぐ逸らして、教室へと走っていった。





見られた……っ。
泣き腫らした顔を。


恥ずかしくて、切なくて……もういろんな感情がグルグル渦巻いて。



顔がどんどん熱くなるのを感じた。
心臓も、痛いくらい高鳴ってる。


走っているからと思いたいけど、そんなのとはまた違う鼓動の速さだった。





教室へ着いたのはちょうど本鈴が鳴った時だった。






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