届かないこの想いを、胸に秘めて。





和海ちゃんと香奈恵ちゃんに手を振って別れて、鴇田くんと一緒に集合場所へ。



いつの間にか、なぜかいつも私を待って、一緒に行くことが当たり前になっていた。


私なんか待たずに先に行ってもいいのに、とまだ3ヶ月しか経っていないけど毎回思う。




「ねぇ、鴇田くん。なんで、いつも私を待ってるの?」

見上げて問うと、鴇田くんは驚いた表情をして私を見ていた。


少し唸って、少し息を吐いている様子をみて答えを待つ。


鴇田くんは私をチラッとみてまた唸った。



「プッ、ふふふ……」

「な、なんで笑うんだよー」

「だって……っ」


唸ったり、しかめたり、頭を掻いたり、忙しそうに表情を動かしている彼があまりにも滑稽で。




……鴇田くんといると、心が落ち着くな。


久しぶりに笑ったから、そんなことを思ったのかもしれない。

でも、鴇田くんといるとなぜか落ち着いている自分がいた。







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