届かないこの想いを、胸に秘めて。





「雪菜、ちょっといい」



6月最後の日。
相変わらず梅雨の影響で雨ばっかり降り続けている今日このごろ。



一昨日、体育祭が行われて私達、青チームは3位に終わった。

でもそれは総合で。
応援合戦では私達が優勝したんだ。



みんなで喜んで、とても楽しかった。

でも、キミを見つけては苦しくなって。
キミと香奈恵ちゃんが一緒にいるのを目にするだけで、胸が苦しくなった。




だから、できるだけ二人の前では笑顔でいようと毎日頑張って作ってた。





──放課後。

いつもと違う顔つきで、私を上から見下ろした香奈恵ちゃんが言った。


はてなを浮かべ私は香奈恵ちゃんを見上げる。

その視線は私を突き刺すような鋭い目で、背中に冷たい汗が伝った気がした。


前の席から私たちを見ている和海ちゃんは、とても心配した表情をしていた。









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