届かないこの想いを、胸に秘めて。





お互い無言で教室から誰も通らない、空き教室へ来た。



なんだかとても居た堪らない感覚が襲ってきたけど、踏みとどまった。





後ろを向いて立っていた香奈恵ちゃんが、くるっとこっちに体を向けた。

お互い黙ったまま、向かい合って視線を合わせる。




変わらない目つきで私を見る彼女は、
これから私たちの関係を少しずつ崩していくことに覚悟を決めた様子で、口を開いた。








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