届かないこの想いを、胸に秘めて。





「……2週間前からだよ、雪菜が私に対して、態度が変わったのは」



私は目を見開いた。



香奈恵ちゃんは私を見ているようで、でもどこか遠くを見つめて言った。




私が、香奈恵ちゃんに対して笑わなくなったこと。

私が、素っ気なく返事を返すこと。

そして、私が香奈恵ちゃんの傍に近寄らなくなったこと。



彼女は、途切れ途切れに言葉を繋いで言った。
途中詰まりつつ、でも決して止めることもなかった。



そっか……。
香奈恵ちゃんは私の変化に気付いてたんだ……。




そう、この2週間私は香奈恵ちゃんに少し距離を置いていた。

とても酷い、と2週間前の夜、自分でも思った。



でも、他に方法がなかった。



……ううん、ちがう。

私は香奈恵ちゃんを軽くみていたんだ。
一つ変化しても気付かないと勝手に決めつけてしまったから。




……ばかだ、私はっ。


なんて自分勝手で、本当に馬鹿な事をしてしまったんだろう。


後悔が心を締めつけた。






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