届かないこの想いを、胸に秘めて。





「おっはよーん!」



外より明るい元気な声とともに、思いっ切り開かれた目の前のドア。

びっくりしすぎて、涙も息も、止まった。


な、んで。ここに……?



「うわあ、懐かし~」

部屋に入ってキョロキョロと見渡しながらそう言う彼女。

私の頭は真っ白で、『?』が埋め尽くしている。

上手く状況がつかめない。
……土曜日だよ?どうしたの?




「ひとりで泣いてないかなーって思って、来ちゃった!」

両手いっぱいの荷物を少し上に掲げて、笑う和海ちゃん。



「やっぱり泣いてたかー」

私の顔をまじまじと見るから、顔を背けた。

和海ちゃんは、私に怒ることもなく「ふふふ」と私をみて笑いかけている。



「どうして、来たの……?」

一番に浮かんだ疑問が口から飛び出た。

でも、口をつぐむこともなく足元を見たまま答えを待った。


「……来るのに理由ってあるの?」

私が行きたいと思ったからだよ、と優しい声で言った。



その瞬間、視界がぼやけはじめた。


「だって、親友でしょ。哀しんでる親友の傍にいたいって思うのは普通のことじゃん?」

そう言って、私の頭を撫でた。

その手がとても温かくて。
涙がひとつ落ちた。


「ぅ……っあり、がと……っ」


なで続ける和海ちゃんに心から思った。


──私の親友でいてくれて、ありがとう。






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