届かないこの想いを、胸に秘めて。





夜ご飯はカレーライス。


お母さんと和海ちゃん、私で食事をしていると、お父さんとお姉ちゃんが帰ってきて、2人とも和海ちゃんを大歓迎していた。


和海ちゃんとお姉ちゃんはいつものように敬礼を交わしていた。




「いや〜、せっちゃん家はやっぱり素敵な家族だよね」


お風呂から帰ってきた和海ちゃんが、まだ乾ききっていない長い髪をサイドによけながら言った。



「そうかな?」

「素敵だよ〜。いいなー」

床に座って、私に羨ましい目を向ける。

和海ちゃん、それは私のセリフだよ?



「それ言うなら、和海ちゃんじゃん」

「それは、金銭面でしょ。そーじゃないよ」


ズバッとキッパリ言う和海ちゃんは少し浮かない表情を浮かべて宙をみた。




……そうだよね。
両親ともに忙しいからね。

和海ちゃんのお父さんは経営者で、お母さんはその秘書をやってるから。



今の言い方は失礼だなと、和海ちゃんの言葉を聞いて思った。




「和海ちゃん、笑ってよ」

ごめんね。そんな顔しないで。
大丈夫。だって。



「和海ちゃんは、ひとりじゃないよ」

いつも助けてくれて、いつも傍にいてくれる和海ちゃんが私は大好きだよ。

いつも感謝してるよ。


宙を見上げていた彼女と目が合う。

私は笑った。




「……ありがとう」


少し涙ぐみながら言った和海ちゃんは、とても柔らかく笑っていた。









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