届かないこの想いを、胸に秘めて。





「…………し、嫉妬、してたの」


シーンとした空間に、スズムシの音が響く。

でもそれはほんのひと時で、和海ちゃんが吹き出した。




「プッふふふふ……っ」

「な、なんで笑うのーっ」


ごめんを連発しながら笑う和海ちゃんに、私は戸惑った。

戸惑ったというより、和海ちゃんの笑ってる意味を読み取って恥ずかしくなったって感じ。



笑っちゃうよね。
だって、こんな小さな感情で、避けていたなんて。

子どもだよね。ばかだよね。




「なんだ、嫉妬かー」

ほっとした表情をした和海ちゃんに私は下を向いた。


「……ごめんね」


ポツっと呟くと、泣きそうになった。




「これ絶対、香奈恵聞いたら笑うよね」

ハハハと笑いながら言うから、なんか申し訳なく感じた。


……私が、いけないんだ。
無理して笑わなくていいのに。

本当は怒りたいはず。
香奈恵ちゃんは、怒ったんだから。


酷いことしたのに、なんでこんなに優しいの?








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