届かないこの想いを、胸に秘めて。
「せっちゃん」
そう呼ばれた気がして不意に上を向いた。
「っ!?」
「もー!いつまでそんな顔してんの!」
顔が思いっきり歪んだ。
和海ちゃんの手が私の両頬に添えられて、それを思いっ切り押しつけたから。
「そんな顔見たくて、ここに来たんじゃないよ!さっき私に言ったように、笑ってよ」
子どもを叱るように、けど優しさのある口調で和海ちゃんは怒った。
私はまだ歪んだままの状態で、見つめる。
「せっちゃんはいつもどこか一歩引いてる気がする。側にいるけど。……もっと入り込んできてよ」
眉根を下げて言った。
……私が、一歩引いてる?
和海ちゃんと香奈恵ちゃんに?
…………思い返せば、そうかもしれない。
側にいるけど、ちょっと引いて。2人の後ろを眺めて、見て……微笑んでいた。
……なんでかな?
ふたりは親友なのに。
私はつくづく馬鹿だなって思った。
「っ、ごめんね……ごめんねっ……」
なんでそんなことをしていたのか自分でも分からない。
でも無意識にしていた行動が親友を傷付けていたと思ったら、涙が溢れ出てきた。