届かないこの想いを、胸に秘めて。
「ンンー!んうンーーっ」
「ぷっ、何言ってるわかんないよ」
言葉にならない声で私の手を叩く和海ちゃん。
手を離すと思いっ切り息を吸っていた。
「もー、静かにしてよねっ」
「ご、……ごめんごめん」
もう日付が変わっててもまだ深夜。
何事かって起きてきちゃうかもしれないんだから。
「そっかー、一目惚れ、かあ」
私をみて言った。
その顔がどんどん崩壊していくのが見えて、私は恥ずかしくなった。
そこは怒るところなのかもしれないけど、私は強調された言葉に顔を紅くさせた。
「で、どうするの!?」
「どう、するって?」
「告るの?ってことだよ」
それしかないでしょ、とでも言っているような顔で私に寄ってきた。
そんな期待されるような顔を向けられても、困るんだけどなー。
告るのが怖くて勇気のない私の答えはもちろん決まっていて。
「…………告らないよ」
小さな声で言った。
和海ちゃんにはちゃんと聞こえてたみたいで、驚いた声があがった。
そして、「なんで」って。
だって、もう。
「好きになるのやめた、から」
少し揺らいだ心を隠し、和海ちゃんの目を見た。