星の願いは?
いざ、買い物へ出かける。昇にとっては見慣れた風景を歩き、目的地へ向かうだけの事だが本日は違う

「ねっ・が・い~♪ね~・が・い♪」

妙な唄を歌いながら、看板の裏側や自販機の隙間を覗き込んだり、縁石の上を歩いてみたり、止まったとおもえば野良猫とジーっとにらめっこ…アッチへコッチへ走り回る

〝…うるさい…〟

昇の前方を後ろ向きで歩き、シホは尋ねる

「ねぇ?ノボルはうるさいのが嫌いなの?」

〝…急に何だ?…どうでもいいだろ…〟

「どうでもよくなーい!大切なこと!ノボルの好みを知りたいのっ!」

〝…うるさい…〟

「ほら?また言った」

〝思っただけ…言ってない…〟

「でもボクには聞こえるもん!」

〝…どうでもいいが…前見て歩け…危ない…〟

「…んー、やっぱりノボルは優しいね!“うるさい”とか“どうでもいい”って言うのに、ちゃんと心配してくれる」

〝…そうか?…〟

シホは昇の隣を歩き、手を繋ぎぶんぶん振り回す…片手は前を指差す

「はい、これで安全!さぁ願い探し!」

〝…元気だな…まぁ確かに安全だ…〟

二人組の女子高生の横を通りすぎた時に、耳へ入ってきた
「仲いいねー?羨ましいなー」
「うん、私も~!あんな感じのお兄ちゃん欲しかった」
周りには、どうやら兄弟に見えている様だ…しかし、違和感がある…シホとは反対側の手に感触がある…

〝…ん?……いつからいた?…面倒だ…〟

今にも泣きそうな表情の子供が昇の手を掴んでいた、恐らく迷子みたいだ…
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