星の願いは?
布団、服、食材、その他の雑品、大きな物は配送を依頼…いくつかの店を廻り、やっと買い物は完了した…学生には痛い金額になった…

〝…疲れたな…さて…帰るか…今日も冷える…〟

「ノボル!ノボル!これって…」

〝ん?ああ…雪降ってきたのか…〟

「綺麗だね…」

〝…こっちでは初めてだ…雪…確かに…綺麗だ…〟

手の平に降り、溶ける雪を見てシホは何処か儚い表情を浮かべる…その手を胸に当て目を閉じる…シホの仕草に昇は儚さの内にある美しさを感じた

「どうしたの?」

意識せず、じっとシホを見つめていた様だ

〝…いや…何でもない…〟

寒いが少し雪を見ていこうと思い、缶コーヒーを飲みながら二人で空を見上げる

「綺麗だけど、一粒だと溶けちゃうんだね」

〝…そうだな…〟

また手に降ちる雪を見ている

「ボクも同じかな?ノボルの願いを叶えたら…」

〝…やめろ…どうでもいいが…何か…切ない…〟

「願い探しだから…いつかは…」

〝…もういい…帰るぞ…〟

昇は飲みかけの缶コーヒーと荷物を持ち、歩きだす…シホの返事が無い…そこにいたはずの場所にはポツリと缶があるだけ…

〝おい…どこ行った?〟

返事は無い

〝聞いてるのか?…帰るぞ…〟

姿も無い

〝…おい…返事しろよ…〟

周りを見渡すが、いない

〝…どうでもいい…俺は帰る……〟

〝………………まったく…〟

走り出す昇、色々な所に視線を移しながら

〝…どこだ?…聞こえてるんだろ?〟

何度か他人と肩がぶつかる

〝…シホ…どこにいるんだ?…うるさく返事しろよ…おい…シホ…〟

やっと見つけた、今日の迷子と別れた場所だ

「ノボル…」

何かを言おうとしたシホの頬を叩く

〝…アレ?…なんで俺…叩いたんだろ?〟

「…すまん…」

頬を触りながら首を横に振り、俯くシホ

「ううん…ごめんなさい…ノボル」

俯いて表情は解らない…急にいなくなった理由も自分がどうしてシホを叩いた事も解らない…昇の方から手を取り、雪路の中を無言のまま手を繋いで帰った
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