新月の王 Ⅰ

第１章

入学

今日から通う私立星林館学園の校門前に立つ。


季節は５月。


この時期に転校？入学？なのは色々あったから。条件のテストをパスして今日から通う事になったのだ。


正直言うと高校なんてどうでも良かった。ただ保護者から行けと言われれば行くしかない。


マンションから歩いて１５分に位置し、偏差値３０～７５まで抱える割と珍しいタイプの高校。


この高校のメリットは特別クラスにある。


学期毎に行われる、中間、期末、実力テストの合計得点上位２０名しか入れない特別クラス。２１位になった瞬間特進クラスに移される。特別クラス居たければ死守しないといけない順位。


特別クラスの特典

１、毎週末に出される各教科課題のプリントを週初めに提出すればその週の授業は免除。プリントが出来ない場合は強制で授業参加。

２、毎日ある朝のHRの小テストを受ける事。

３、夕方のＨＲは必ず出席する事。


毎週出される課題のプリントをクリアし、朝と夕方のHRさえ出ていれば、どこで何をしてても良いと言う。


毎日の小テストを受けHRの絶対参加さえなければ最高の条件なんだけど、動きがとりやすいだけまだマシかと思う。


この条件だから否応でも毎日学校へは行かなきゃならないし、遅刻も出来ないし、下校時刻までいなきゃならない。それでも授業免除と言うのはやっぱり嬉しい。


そうは言っても特別クラスだから真面目な生徒ばっかりで、授業をサボるという概念はそもそもないらしい。一部を除いては。


何より偏差値７０以上の特別クラス、勉強ばっかりで、お洒落や恋愛に興味がない生徒たち、それが私には心地良い。