新月の王 Ⅰ
好きな気持ちを大切にしろって、俺らに告っても無理なのにな。だけどそんな事は関係ないんだよな?


でも聞き逃さなかったぞ?俺らの事良い男だとさりげに言ったよな?それは俺も入ってるんだよな?玲央がそう思ってるって事で良いんだよな?


まるで相手が俺らだから、その気持ち大切にしろって言われてるみてぇだな。


女が去った後に、自分の拳を見つめて・・・何を思う?


隼人さんの言葉を思い出すな・・・。


“喧嘩する時は、覚悟を決めろ。喧嘩に勝つと言う事は負ける相手が居る。その全てを背負うから強くなる。その覚悟がないなら喧嘩をするな。守る物があるから強くなれるんだ。己の私利私欲で喧嘩をしてはならない。仲間の為に、大事な者の為に、だから拳は重くなる”



俺が黒龍に入ってすぐの時に、自分の強さを誇示したいが為にやってた喧嘩。調子にのって負けてボロボロになった時に兄貴から教えて貰った隼人さんの言葉だった。


それから俺は意味のない喧嘩をしなくなった。



“強くなりてぇなら、全てを背負え”



中坊のガキだった俺にはよく分からなかったが、総長に就任した時、黒龍のメンツが集まる度、五龍のメンツが集まる度、何かを決断する時、いつもこの言葉を噛みしめる。俺の決断は間違っていねぇか?メンツを守れるかってな。


これからはあの子を、玲央を、仲間を、大切な者の為に護っていく。


俺の全てをかけて・・・。

柊哉side end
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