新月の王 Ⅰ
「玲央は俺らの事知ってんのか?」


「ううん」


「零二さんに頼まれたから、まずは自己紹介ね」


「そっか」


「俺は早坂碧(ハヤサカアオ)。黒龍の幹部です。碧って呼んで?よろしくね玲央ちゃん」


「ども」



碧・・・この中でも一番冷酷かもしれないね。一見優しそうに見えるけどこういうタイプを怒らせると、恐ろしいお仕置きとか制裁とかしそう。



みんなが視線を送るその赤茶髪の男は。



「高山蓮(タカヤマレン)だ。特攻やってる。蓮でいい」


「・・・さっきはごめんなさい」


「あぁ?」


「腕、正当防衛だけどごめんなさい」


「・・・大丈夫か?」



いくら胸倉掴まれたと言っても、蓮は特攻だ。五龍トップの黒龍の幹部だもん当然強いはず。幹部にお遊びとはいえ、女の私が手を出したらダメだ。女に負けたとなれば幹部の威厳が失われてしまう。黒龍は私の敵ではないから今後争う事はない。だから素直に謝ったのに・・・・・・おでこを触るな。



「熱、ないわっ」


「ならいいけど」


「俺は天川駿(アマカワシュン)。駿って呼んでね。幹部の一人」


「・・・っ」


「ん?どーしたの?」



キャラメルブラウンの彼は笑顔がマブシイっ。



王子様か?白馬の王子様か?ん?黒龍だから黒馬か?
何でもいいけど、暴走族辞めてテニス部とか入った方が良いと思う。だってキラキラしてるから。



「・・・・何でもない。よろしくです」



そしてさっきから殺されそうな視線を送っている方を向くと



「霧島柊哉(キリシマトウヤ)・・・黒龍総長」


「して、何と呼ぶ?」


「・・・柊哉で良い」


「え、姫でもないのに、総長呼び捨てにして、私犯されたりしない?」


「ぶはっ」


「あ?」


「ぷぷっ」


「・・・」


「アホだろ」



だって総長呼び捨てにしてたら可笑しいじゃない。そんな仲でもないのに。誰も答えをくれないし。



「良いんだよ玲央ちゃんは特別だから」


「は?」


「零二さん繋がりでって事」


「なるほど」



なら良いんだ。あんまり深く関わりたくないだけだから、零二さん繋がりって事は、零二さんがダメって言ったらそれまでの関係だもんね。ならば気にしなくてもイイ・・・。
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