新月の王 Ⅰ
「そう言えば、何で知らないってわかったの?」



パンを食べながら返事を待つ。



「何が?」


「俺らの事知らないって」


「あぁ・・・そりゃそうだろ」


「ほ?」



パンをちまちま齧りながら大和が言った“そりゃそうだろ”の意味を探す。



「教室で俺ら見て無視だったろうが」


「酷く冷たーい目だし」


「ここでも俺ら眼中に入ってなかったし」


「俺に手出すし」


「何より俺らにビビッてない」


「・・・ほぉ」



なるほどね・・・



「言い訳するとさ?教室で無視したのは、転校生にありえないくらいのガンを飛ばしてきてめんどくさかったから。冷たい目って言うのはよく分からないけど、係られるのはめんどくさいから。眼中に入れなかったのは、この後めんどくさい事になって睡眠邪魔されるのが嫌だったから。みんなにビビッてないのは、零二さんたちと居る事があるから免疫があるからじゃないかと」


「・・・めんどくせぇのか」


「うん」


「はっきり言うじゃねぇか」


「苦手なんだと思う。誰かと過ごすの」


「・・・そうか」



あ、何か雰囲気悪くしてる。



きっと思ってる。こいつは何があったんだ?ってね。



それが余計なお世話だっつーの・・・あぁめんどくさい。



「だって・・・玲央わがままだから」


「「「「「・・・」」」」」


「なんちゃって・・・えへっ」


「「「「「・・・・・・」」」」」



誰も笑ってくれなかった・・・ちーーーん。
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