新月の王 Ⅰ
「そうだ。玲央プリント終わったら授業受けねーよな?」


「・・・たぶん」


「屋上に用意しておいたから」


「何を」


「行けば分かる」


「何か嫌な予感がするけど・・・」


「そうか?」


「・・・」


「教室と同じ棟の屋上だ。校内でサボるんならそこでサボれ」


「・・・わかった」


「良い子だ」


「子供扱いしないでよ」


「そんなとこがガキなんだよ」


「・・・」



迎えに来た担任の名前は北島先生。数学教師。



チャイムが鳴り終えると、理事長室を後にして担任の後ろを歩き特別クラスへ向かう。



綺麗な校舎、静かでピーンっと張りつめた感じ。微かに聞こえるざわつき、耳を澄ませてザワザワしたところを見つめると



「あぁ本城。隣は物騒だから行くなよ」


「え?」


「あっちの校舎は不良の巣窟だ」


「偏差値30?」


「ははっ!そうだ」
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