新月の王 Ⅰ
護身術・・・身を護る為だけと言えば信じるか?


いや、信じねぇ。だから玲央は“正当防衛”と言ったんだ。


蓮に出した攻撃は実際に喧嘩してないと出来ない動きだ。頭では分かっていても、どれだけ練習しても、実際攻撃を受けなければ身体は動かない。なにより普通の女なら胸倉掴まれて蓮に睨まれたら震えあがるはず。


喧嘩慣れしてる俺らには分かるから、正当防衛だと言ったのだろう。


実戦すればするほど、相手の動きが読めるし、強くなる。場数を踏めば加減も分かる。どれだけの力で殴れば骨までいくのか、どこを攻撃したら気絶するのか、どれだけの力で蹴れば内臓までいくのか・・・その加減は実戦でしか培えない事だ。


蓮の腹の蹴りは加減されている。実際すぐに話せたほどだ。あれは玲央からの警告ととって良いだろう。


“これ以上聞かないで”


私は強い。だから近寄るな。守ってくれなくていい・・・だから関わるなってことか?
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