新月の王 Ⅰ

運よく白虎って言うラインは消えた訳だから、それはそれで収穫ありってことかな。


その日は朝方４時近くまで歩いたけど、何も得ることはなかった。


青龍の縄張りに置いてあるKATANAに乗って家に向かう。


さっきからつけられてるっぽいな。


あれは誰だ？ってかどこのチームだろうか。まさか白虎でもないだろう･･･２台か。


ちょっと遊んでやろうか。バイクとナンバーを見る為に、まだ夜明け前の大通りは車も少ないこの時間なら大丈夫かな？


途中から大通りに出た瞬間スピードをＭＡＸまで上げていく。当然信号なんか止まってられない･･･が運よく車も走って来ない。


こっちのスピードに付いてこれない２台。スピードを緩めて後輪滑らせ、道路のど真ん中くるっと向きを変えて逆走してみた。


逆走って一度はしてみたいよねぇ～何って言うの？ロマン？みたいな？


やっぱ普通は出来ないじゃん？逆走なんてさ？怖いし、サツに捕まりたくないしね？


ここでするのはカメラがないから。あるとこじゃなかなか出来ないからね。カメラが無いここを狙わないとね。


こっちに向かってくる２台のバイクの間を抜けようと思った少し手前で鉄パイプが見えたから、チキンレースに切り替えてみた。１台の真正面をギリギリまでスピードあげて直前で交わしたら見事ガードレールにぶつかった。


ｶﾞｯﾁｬｰｰｰｰﾝｯｷｨｨｨｰｰｰｰｰｯ


あれ？死んじゃった？


なるほどね･･･武器か。紫蛇だったな。バイクには紫の蛇のマークがあった。死んじゃったら、騒がしくなりそうだ。


白虎やった時見られてたか？迂闊だったねぇ･･･少し日を開けた方が良さそう。


もう追いかけてこないだろうと踏んだ私は一応、カメラのない色んな道を通り、マンションに着いた時には、すでに７時だった。