新月の王 Ⅰ
「ちょっとっ無視してんじゃないわよっ」


パンッ


「・・・っ」


いきなり平手打ちって何なのこの女。痛いなぁ・・・失礼極まりないよね?


「・・・で?」

「黒龍から離れてよ」

「・・・理由は?」

「は?」

「その理由」

「目障りなのよっ!屋上に入っていいのは黒龍の幹部だけなのにっ!なんであんたが居るのよっ!」

「・・・誰の彼女?」

「は?」

「誰かの彼女なんでしょ?」

「・・・意味わかんない」


こんなこと言うのはきっとそうなんだよね?彼女だから私が屋上にいるのが気に入らないんだよね?


「柊哉?大和?碧?蓮?駿?誰の彼女?」

「・・・か、関係ないでしょ」

「・・・」

「・・・何よ」

「・・・一緒に来る?」

「は?」

「彼女ってここでは言えないんでしょ?じゃあ一緒に来ればいい」

「は?」


なんで自分でもこんな事言ってるのか分からない。だけど、たった一人で言いに来てる目の前の女は卑怯じゃないと思う。


こういう時大勢でよってたかってリンチするのが女でしょ?
目の前の女はたった一人で私に言いに来た。彼女じゃない私が一緒に居るのが許せないんだと思ったから。
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