新月の王 Ⅰ
屋上からの帰り際に零二さんは俺に言ったんだ。


「柊哉は玲央を思い出したか?」

「・・・え?」

「思い出してねぇか?」

「俺やっぱり会ってますか?」

「葬式と道場と言えば思い出すか」

「・・・あっ・・・あの時の」

「そうだ。あのチビだ」

「・・・」


あの時の・・・


「だから姫ってのは悪い話じゃねぇはずだ」

「・・・零二さん・・・その顔」

「お前はあいつを・・・もしそうなら許してやる。玲央が幸せなら俺は何も言わねぇ」

「・・・」

「時間とらせたな」

「いえ」

「勝手に移動させちまったけど、下の部屋これからの幹部部屋として使えや」

「「「「「ありがとうございます」」」」」

「俺はちょっと行かなくちゃなんねぇから、玲央から聞ける事は脅してもいいから聞け。話しても大丈夫と思えばあいつから話してくると思うからよ」

「・・・分かりました」

「頼むな」

「「「「「ありがとうございます」」」」」


そう言って零二さんが去っていった後、これから俺らはどうするよ?


俺はどうすればいい?
< 87 / 103 >

この作品をシェア

pagetop