新月の王 Ⅰ
その数か月後、今度はあの子の父親。親父の親友、兄貴の親友の父親の葬式に参列する事になってしまった。


さすがにその葬式は、親父の親友の会社の人とうちの家族が中心になって事を進めていた。その時のその子は、前ほどじゃないにしてもやっぱり泣いてて、ただ兄貴の親友がずっと手を握り側にいた事を覚えている。


わずか数か月の間に、両親を事故で亡くしてしまうなんて、やっぱり心が痛んだ。


そして数か月後、その兄貴の親友がバイクで事故死した。


その時は、もう俺の家族が仕切ってたような気がする。一応向こうの親族もちらほら居たし、亡くなった父親の会社の人もちらほら居たが、ほぼ俺の家で決めていたような気がする。


1年も経たないうちに、母親、父親、兄貴が亡くなって、一人になってしまった女の子の事が気になって仕方なかった。


広い葬儀場、行き交う人々の中俺は探したその女の子を・・・


棺の側に居るであろうその女の子が居なかったから・・・
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