夏の日、僕は君の運命を変える
プロローグ 28年4月25日
今日の昼間はよく晴れていた。
洗濯物が乾きそうなほど、眩しく晴れていた。
だからだと思う。
16時の今も、こんなに夕焼けが綺麗なのは。
普段空なんて全く気にしないけど、何故だか今日はふと空を見上げてしまった。
太陽が隠れて影のある雲に、澄みきったオレンジ色の空。
思わず歩を止めて空を見上げていると、隣をスマートフォンを触りながら男性が通り過ぎていく。
何故だか知らないけど、勿体ないと思った。
こんなに綺麗な空を見上げないで、作られた画面を見て、勿体ない。
「……」
男性が通り過ぎて行った時、わたしの目に映った、そこにあるはずがないもの。
わたしはしゃがみ、それを拾った。
わたしの手にすっぽり収まっているのは、黒のスマートフォンだ。
ストラップはついていなくて、見たことのない機種。
誰かの落とし物だろうか。
警察に届けるべきだろうか。
ぎゅっと誰かのスマートフォンを握りながら色々と考えていると。
『~♪』
聞いたことのない、恐らくスマートフォンに元から内蔵されているであろう音楽が小さく鳴り始めた。
驚いて落としそうになったのを耐え、画面に出た公衆電話の文字を見つめた。
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