夏の日、僕は君の運命を変える
「そっか。
ここちゃん、後悔しない道を選んでね」
『ありがとう。
ところで、ここちゃんって何?』
「可愛いでしょ、ここちゃん。
心ちゃんより言いやすいかなって、可愛いし」
『2回も可愛い言わないで良いよ…』
照れているのか、クスクス楽しそうに笑っている。
…やっぱり、どうにかして守らないと。
『そういえば、水樹くんがバイト休むなんて珍しいね』
「そう?」
『いつも平日はバイトしているイメージがあるから』
「確かに平日の方がシフト入れている日数は多いよ。
だけど今日は…ちょっと調子悪くて」
『え?風邪でも引いた?』
「馬鹿じゃないから引かないよ。
今日ちょっと色々上の空で、友達にもバイト休むよう言われたんだ。
風邪とかじゃないから」
『…心配』
「え?」
『…水樹くん優しいから、お人好しで、無理しちゃいそう。
無理、しないでね』
「…ここちゃん」
『水樹くんはひとりじゃないから。
離れているけど、わたしがいる。
必ず会うって、約束しているんだもんね』
必ず会う。
そう、そう約束しているんだ。
達成しなくちゃ。
ここちゃんがペンダントに込めた想いを知らなくちゃいけない。
そのためには、助けないと。救わないと。
空いた手で頭を強く押さえながら、僕は話すことにした。
「…ここちゃん。
僕ね、知っちゃったんだ」
『何を?』
「3年後、君は僕の世界にいないよ」
今、酷く泣きたい。
君をこの手で抱きしめたい。