夏の日、僕は君の運命を変える
第18.5章 31年8月25日
あれからずっと、ここちゃんに電話をかけた。
アルバイトも、体調が悪くてと嘘をつき、ずっと休んでいる。
アルバイトだけではなく、講義も。
【大丈夫か?無理していないか?】
太田からは毎日のように心配するメッセージが届く。
簡単に【大丈夫】と返し、ここちゃんに電話をかけた。
ストーカーと思われても良いぐらいに、着信履歴には黒いスマートフォンへの電話番号が並んでいた。
時刻は、10時。
あと少しで、10分。
10時10分だった、あの事故が起きたのは。
出るよう願いを込めて、電話をかける。
お願い、出て。
出てよ、ここちゃん。
運命をこの手で変えられると思わないけど。
僕たちの出会いがそもそも、普通じゃあり得なかったんだ。
普通じゃあり得ないこと…運命を変えることだって、出来るんじゃないの?