夏の日、僕は君の運命を変える
ずっと鳴り響く、無機質な呼び出し音が、途切れる。
僕は俯いていた顔を上げ、声の限り叫んだ。
「ここちゃんっ!?」
『水樹くん…?』
「今どこ!?」
『今…土木沢交差点だけど?』
「下がって!」
『え?』
デジタル時計はあと数秒で10分だ。
「下がって!ここちゃん下がって!!」
少しでも下がっていれば助かった、とここ最近見た記事に書いてあった。
下がらせれば、きっと助かる。
『水樹くん、え?どういうこと?』
「──心ッ!下がれッ!!」
『ピピピッピピピッ』
10分を知らせるタイマーが、鳴った。