夏の日、僕は君の運命を変える
病院の中庭に着き、ベンチに座ってぼーっと空を見上げていると。
「……水樹?」
「…おお、た?」
「水樹!」
記憶の中とさほど変わらない(まぁ1ヶ月だからな)太田が、ベンチに駆け寄ってきた。
「覚えているか?」
「ああ。
今度は忘れていねぇよ」
「じゃあ覚えているんだね?記憶喪失だった時のことも」
「覚えているよ。全部。
高校生の時も、大学生の時も全部覚えている」
でも、ひとつだけ靄がかかった記憶がある。
俺は、何かをずっと守ろうとしていた。
俺は一体、何を守ろうとしていたのだろう。
「うわー、結構綺麗な夕焼けだね」
「……そうだな」
俺の目が覚めたのは夕方で、空にはオレンジ色に染まっていた。
夕焼け。
何だか、懐かしい。