夏の日、僕は君の運命を変える
「あ、春田さん」
振り向くと、看護師さんが歩いてきた。
そして俺に、小さな箱を渡してきた。
白い四角い箱で、リボンなどはついていないからプレゼントではない。
「今朝春田さん宛てに届いたんですよ」
「そうですか。ありがとうございます」
病院に何で俺宛ての荷物が?
よくわからないまま、俺は箱を開けた。
「……」
「え、不思議な贈り物だな」
太田が驚くのも無理はない。
中に入っていたのは、黒いスマートフォンひとつだけなのだから。
取り出して手に持つ。
──馴染む。
前にもこうして持っていた気がする。
「手紙とか入ってねぇの?」
聞かれてスマートフォンをベンチに置き、箱を隅々まで見たが、手紙はおろか紙ひとつ入っていない。
本当に、スマートフォンしか入っていないらしい。
「……」
「お、おい水樹!?」
俺は先ほどこの箱を渡してきた看護師を探し、呼び止めた。