夏の日、僕は君の運命を変える
「そういえば春田、まだ心が入院している病院にいるみたいだよ」
「春田……?」
「春田水樹。心と一緒に意識不明になった人だよ。
まぁその時は奥村水樹だったけどね」
「奥村が春田……?」
どこかで聞いたことがある、春田と言う名字。
どこだっけ?と考えていたわたしは、鞄の中からスマートフォンを取り出した。
わたしの白いスマートフォンではなく、黒いスマートフォンを。
「……返してこなくちゃ」
「え?心?講義は!?」
「出ない!」
心理学部に籍を置き、心理カウンセラーになることを目指している希和。
心理カウンセラーといっても、本当に目指しているのは恋愛絡みのカウンセラーみたいだけどね。
文学部に籍を置くわたしが受けるはずだった講義の教室が近かったから一緒に行く約束をして待ち合わせていたけど、わたしはサボることにした。
奥村水樹。
春田、水樹。
どちらもわたしにとって、大切な名前。