夏の日、僕は君の運命を変える
「心ちゃん」
「あ、かっちゃん!久しぶり」
「久しぶり。希和は?」
「A棟にいるよ!
ふふっ、変わらずラブラブみたいだねっ」
「心ちゃんには大切な人、いないの?」
わたしは黒いスマートフォンを見て、首を振った。
「いるよ、大事な人。
今からその人に、これを返しに行く」
「スマホを?」
「うん!
そうだかっちゃん、何か箱持ってる?」
「箱……ああ!」
かっちゃんは持っていた鞄の中から、白い箱を渡してくれた。
中にはかっちゃんが付けるピアスが入っていたみたいだ。
「ありがとう!」
「いいえ。……心ちゃん」
「何?」
「大事なものを見失わないようにね」
「ありがとうっ!」
わたしは箱にスマートフォンをいれ、病院へ向かった。