夏の日、僕は君の運命を変える
第3章 28年6月25日
最近、ジメジメした雨の日がずっと続いている。
傘を持ち歩かない日がないほどで、夕焼けも見ていない。
だけど変わらず、春田さんとの電話は続いていた。
「春田さんって文学部なんですよね」
家に帰ってゴロゴロしていると、春田さんから電話がかかってきて、わたしは聞いてみる。
『そうだよ。まぁ成績あんまり良くないけどね』
「国語とか教えてもらえませんか?」
『どうして?』
「テストあるんです。夏休み前に」
『そうなんだ、もうそんな時期か。
うん、僕で良ければ教えるよ』
「ありがとうございます!」
実はわたしは1年生の入学当初から、国語だけは学年で最高得点を取りたいと思い国語だけは異様に頑張っている。
お蔭で国語に関しては学年トップだ。
その他教科も含めてしまうと真ん中より下だけど。
『今どの辺やっているの?』
「今はですねー…」
わたしは春田さんに教えてもらいながら、テスト範囲を教える。
結構量が多いけど、わたしの好きな長文読解が多そうな範囲なので良いかもしれない。
記録を今回も伸ばせるよう頑張らないと。
「今言った所までが範囲です」
『それぐらいなら僕も教えられるかも』
「本当ですか!よし、成績トップがキープ出来そう!」
『え?心ちゃん成績トップなの?』
「国語だけですけどね、頑張っているんですよ毎度」
『国語だけでもトップって凄いよ!尊敬しちゃう』
「ありがとうございます。
でも春田さんだって凄いと思いますよ!
だって範囲を教えただけで教えられるって言えるんですもん」
『そりゃ一応文学部ですからね』
褒められて嬉しいのか、春田さんの声のトーンが上がる。
本当、優しくて良い人だ。