夏の日、僕は君の運命を変える
「遅くなって悪いな」
「ううん気にしないで」
「それじゃ」
「うん、またね」
公民館前で別れ、わたしは家へ帰る。
学校より公民館の方が近いから、そんなに時間はかからないだろう。
夕焼けを終えた真っ暗な、雨の降りそうな空を見上げながら思う。
以前希和の手伝いでバスケ部部室に行き、ボールを拭いたあの日。
顔を合わせて笑っている希和とかっちゃんは、絵になっていた。
希和はザ・女子高生って感じの、どちらかといえば美人タイプだから、爽やか系イケメンのかっちゃんとお似合いだ。
だけど、わたしがずっとかっちゃんに片思いを続けていることを、希和は知っているから。
希和とかっちゃんが付き合うなんて、そんなこと奥村の言う通りあり得ないと思うけど。
仲が良い。
ふたりで出掛けていた。
奥村に言われ、何だか不安になってしまった。
わたし…何のために学校を家から遠い場所にしたんだろう。
1時間も歩く距離の学校を選んだんだろう。
何のために国語だけでもトップを目指そうと思ったんだろう。
わたし…何のためにバスケ部マネージャー、諦めたんだろう。