夏の日、僕は君の運命を変える
頑張って机に齧りついて勉強をした数日間。
今日、その成果が現れる。
「んじゃテストを返していくぞー」
夏休み前に行う今回の期末テストは、担任が全教科返す。
解答も配られ、もし採点ミスがあったら次の時間にその時間が設けられているので言いに行くのだ。
「その前に各教科の最高得点者を発表して行く」
無精髭(ひげ)を生やした男性教師が紙を見ながら発表して行く。
わたしは国語だけをトップと祈っていた。
「まず数学ー、奥村。おめでとう」
奥村が数学このクラスでトップだ。
クラスメイトと一緒になって拍手を送ると、奥村は恥ずかしそうにはにかんでいた。
「次国語ー、皆も予想通りだと思うが、春沢だ。おめでとう」
やった…!
ひとまずこのクラスでのトップはキープ出来た。
皆からの拍手に会釈で答える。
「次科学、英語、歴史共にトップは筧だ」
呼ばれた名前に、わたしは正直酷いかもしれないが耳を疑った。
希和は、赤点の常連だったはず。
それが、一気に3教科もトップなんて。
「筧は今回頑張ったな。おめでとう」
「ありがとうございますっ」
立ち上がって、拍手を送るクラスメイトにぺこぺこ頭を下げる希和。
わたしは拍手を送りながら、おめでとうより驚いている方が大きかった。
でもまぁ、希和はマネージャーと両立して頑張っているのを知っていたから。
あとでおめでとうって直接伝えよう。