夏の日、僕は君の運命を変える
『これからどうしようか?やりたいことある?』
「うーん…特に。
水樹くんがやりたいことやって良いよ」
『じゃ、このデートの本来の目的を達成しよう!』
「本来の目的?」
『心ちゃんがトップを守れたご褒美。
僕が買うって言ったの』
「それ、本当に買ってもらっちゃって良いの?」
『うん。
それに、約束にもなる』
「約束?」
『僕たちが絶対会おうっていう約束。
お金を返すためには、会わないといけないからね。
いわば、心ちゃんが欲しい物は僕たちの約束の証!』
「約束の証……」
『そう。
さ、心ちゃん欲しい物選んじゃって。
僕結構バイト頑張っているから、値段は気にしないで良いよ!』
「わたしの今持っているお金の限度もあるから、値段は気にするよ」
『あ、そっか』
「じゃ、遠慮なく選ばせてもらうね」
『どうぞどうぞ~』
ショッピングモール内には多くのお店が揃っている。
どういうのが良いかな…。
食べ物じゃ消えちゃうから、形ある物にしよう。
形ある物…。
大きいと持って帰るのが大変だから、小さな物。
家に飾る物か、身につける物…。
「…水樹くん」
『んー?』
「身に付ける物でも良い?」
『どうぞどうぞ!
ネックレス?ピアス?』
「ピアスは穴開けていないから、ネックレスかな」
『じゃ近くにアクセってお店あるでしょ』
「うん」
水樹くんが言うお店は、店内が白とピンク色を基調としていて、大人っぽい雰囲気が漂っている。
店員さんの洋服も、高そうだ。
『その店、ショッピングモール内でも評判良いみたいだよ』
「そうなの?」
『うん、ショッピングモールの口コミに書いてあった』
「…口コミ?」
『昨日調べている時に色々口コミ読んで』
「…水樹くん、口コミ読んだの?」
『だってデートだよ?
心ちゃんに楽しんでもらいたいからね』
また、さっきの可愛いもそうだけどサラッと言って。
恥ずかしがっているような声には聞こえない。
素直というか、小悪魔というか。
「…水樹くん」
『は~い?』
「女たらし」
『えぇ!?』
「ふふっ、ありがとうね。
覗いてみるね」
『…どうぞ、ごゆっくり』
女たらしと言われたことが不服そうだけど、わたしはしてやったり。
あんなサラリと言われて、恥ずかしい思いをしているんだから。
これぐらい言わせてよね。