夏の日、僕は君の運命を変える
「最低だな、心ちゃん」
「かっちゃん……?」
「親友の、希和のこと裏切り者とか。
よくそんな簡単に言えるな」
「…だって」
「心ちゃんが俺のこと好きなのは知っていたよ。
何年一緒にいると思っているんだ」
はぁ、とかっちゃんは盛大な溜息(ためいき)をついた。
「小さな頃の心ちゃんは可愛かったよ。
兄貴がいたから、妹が出来たみたいで嬉しかった。
だけど、高校に入った頃から心ちゃん可笑しくなったよね。
俺のこと追いかけているのか何なのか知らないけど同じ高校入って、
バスケ部マネージャーになるとか言い出して、
これ以上付き纏われるのごめんだから止めるよう言ったら、
今度は試合を全部観に来て。
俺正直、ずっと心ちゃんのこと気持ち悪いって思ってた」
かっちゃんの言葉、ひとつひとつが心に刺さる。
……天才だ。
言葉が凶器になるって言い出した人は、天才だ。
「俺が好きだったのは、ずっと希和だよ。
大事な希和を傷つける心ちゃんなんて、好きなわけないだろ」
「……」
「母さんがお前のこと気にしていて、最近どうだって聞いてくるから仲良くしていただけ」
「宍戸先輩、それ言い過ぎですっ」
「…希和は優しいね。
わかった、希和の優しさに免じて今のは謝る。
だけど、希和を傷つけたのは俺、許さねぇから」
「希和行くぞ」と言って、かっちゃんは歩き出す。
希和は一瞬立ちつくすわたしを見たけど、すぐにかっちゃんを追いかけ出した。