夏の日、僕は君の運命を変える
「…春沢(はるさわ)はさ」
「うん?」
シャーペンを動かしながら、奥村の声に耳を傾ける。
「一緒にやらねぇの?筧(かけい)と、マネージャー。お前ら仲良いじゃん」
「そうだよ心。あたしと一緒にマネやらない?」
奥村と筧希和に言われるけど、わたしは首を振った。
「だってわたしどんくさいし、マネージャーなんて立派な仕事出来ないよ」
「宍戸(ししど)先輩いるじゃん」
出てきた名前にドキッとする。
書いていた手を止めて、わたしは希和を見た。
「か、かっちゃんとはただの近所のお兄さんだよ…」
「でも好きなんでしょ?近所のお兄さんが」
「……好きだけどさぁ…」
「春沢、宍戸先輩と幼馴染なんだ?」
「幼馴染っていうほどの関係じゃないよ。
お母さん同士が仲良くて、小さな頃一緒に遊んでもらっただけ」
「それ、幼馴染って言うんだろ」
「しかも聞いてよ奥村!
心ってば宍戸先輩追って、この高校入ったんだよ!」
「…相当だな」
奥村がふっと笑った所でチャイムが鳴る。
「もう!奥村が余計なこと言うから課題終わらないじゃん!」
「筧、それ俺のせいにしないでくれない?」
「まぁまぁ希和…残り時間頑張ろ?英語の時間まで2時間あるし」
「終わる気がしなーい!」
希和はそう叫んでいたけど、無事2時間目の英語に課題は間に合って、わたしたちは奥村にお礼を言った。
奥村は「大したことしてねぇよ」って言いながら、少し恥ずかしそうにしていた。