夏の日、僕は君の運命を変える
「希和は部活行くの?」
まだ部活終わりまで時間があったので聞いてみると、希和は首を振った。
「ううん行かない。
今日は心との話し合いの時間を作るよう、部員からも言われているし」
「もしかして…奥村?」
「そうだけど…知っていたんだ?」
「朝わたしと奥村1限目サボった時、希和と話すよう言ってくれて」
「じゃあもしかして…言われた?」
「…告白のこと?」
希和は奥村がわたしを好きだったことを知っていたみたいで、「言ったんだ!」と息子を見るような目をしていた。
「知っていたの?奥村がわたしを好きだったこと」
「クラスメイトだし、バスケ部部員だからね。
見ていれば誰が誰を好きなのかわかるよ」
「奥村…わかりやすかった?」
「見るからに!ってわけじゃなかったけど、心を見る目が周りと違うのは気付いていたよ。
心のこと、いっつも優しそうに見ているもん」
「…全然気付かなかった…」
「まぁ奥村も心が宍戸先輩のこと好きだったの知っていたからね。
バレないよう抑えていたみたい」
「聞いたの?本人から」
「んー、というか本人から言って来たの。
“俺は春沢が好きなんだ”ってね」
「自分から…?」
「うん」と頷いた希和は経緯を話し出した。
「奥村って人のこと良く見ていて、あたしが先輩を好きだってことも気付いたみたいで、先輩もあたしのことが好きだって言うのにも気付いていたの。
それで先輩から告白された時、春沢はどうするんだって聞かれて」
「奥村…」
「あまりにも心の心配しているから、好きなのって聞いてみたら好きだって。
元々さっきも言ったけど目が違ったから、もしかしてって思っていたけど確信がなかったから」
奥村、わたしの心配してくれていたんだ。
本当、優しいな。
「春沢を傷つける真似だけは絶対にするなって言われた。
あたしも心を傷つけたくはなかったから、当たり前だよって言い返したんだけど。
奥村、相当心のこと気にしているね」
「かっちゃんのことを話す、わたしが好きだって言われた…」
「辛いはずなのに奥村も頑張っているね。
あたしもその一途さ、見習わないと」
わたしも見習いたい。
整理をつけて、奥村にちゃんと気持ちを伝えられるように。