きらら荘の恋模様(仮)
はじめまして、きらら荘
キラキラと輝いている海の上を走る船に私は乗っている。
空気が澄んでいて、とても気持い。
私、七海 ふみはこの小さな島に引っ越してきました。
去年の冬に父を事故で無くし悲しみに暮れたあげく4月、新学期を迎える前に私達は母の田舎のこの島に帰ってくることになった。
「本当になにもない島よ?ふみ、新学期から隣の本島での寮暮らし大丈夫?」
そう、私は高校二年生になる新学期から隣の(船で30分)本島のきらら荘と言う寮に入る事になっている。毎日毎日通学の為に船で30分通うのがきつい為。
「大丈夫だよ、なんとかなるって!
お母さんは実家で少しゆっくりしてね?」
「ありがとう、ふみ・・・」
お母さんは今も父のことを思い出しているのだろうか、目に涙があふれている。
船を乗り始めてそろそろ30分がたつ、目を凝らすと小さく島が見えてきた。
「ここが、お母さんの生まれた島なんだね」
「そうよ、帰ってきたのね・・・」
船が島につき私たちは荷物を降ろし、車で迎えに来てくれてる
おじいちゃんの元に向かった。
「さしぶりね、おじいちゃん」
「ふみ、よう来たな。でも、明日からはもう寮に行くのじゃろ?」
「うん、荷物は向こうに着くように送ってるからさ。
一泊分の荷物だけ、このリュックに入れてる」
「そうかそうか、じゃ家に向かおう。」
そう言って車に乗る、私は後部座席。
1時間ほど田舎道を走ると、100坪ほどの大きな家に着いた。
家の周りには綺麗に手入れされてる庭がありボーダーコリーのブーマが走り回っている。
何度か来た事があるが、やはりおじいちゃんの家はでかい「土地が安いから」と言うけど、立派だ。
これならお母さんが一緒に暮らしても問題がない。
車から降り、私はブーマに一直線。
「さしぶり!元気だった?」ブーマは言葉が分かってるように大げさな喜びを見せてくれた。
手入れされた大きな庭で走り回るのは犬の夢でだと私は思っている。
ヨシヨシとなでた後、
お母さんの荷物を運び部屋に入れて一緒に片付けていく。
お母さんは一番目に付くドレッサーにお父さんの写真を置いていた。
おばあちゃんが買い物から帰ってきて
挨拶をし、夕食を食べて私は明日に備えてすぐに寝た。
次の日、カーテンのない部屋で爆睡してた私は太陽の光で目が覚めた。
携帯を見るとまだ6時。二度寝しようかと思ったけど、おばあちゃんの手伝いをするために一階に台所に向かった。
「おはよう、おばあちゃん」
「おはよう、ふみ。ごめんねあの部屋カーテンなくって日が昇って目が覚めたのでしょ?」
「ううん、いいよ。昨日すぐに寝たし手伝いしようか?」
「なら・・・ブーマの散歩でも頼もうかね。」
「分かった。」
一応外に出るから、身だしなみを整える為に洗面所に行く、この島に来る時に伸ばしてたロングヘアーをバッサリと片上まで切って揃えてもらった。ボブヘアーってやつだ。まだ見慣れないけど櫛を通すだけで綺麗になるから気に入っている。
歯を磨き、ブーマの所にかけよってリードをつなげる
「散歩行こうか!」と言うと嬉しそうに尻尾を振り私と同じ速度で歩いてくれる。
キラキラと輝く海岸でブーマのリードを離すと、ブーマは喜んで海に走っていった。
私は浜に座りボーっと海を見る。
「海なんて見るの久しぶり・・・」
まだ四月の頭少し冷たい風と磯の匂いが私を包む。
そろそろ帰ろうかと思いブーマを呼ぼうとした時、
ブーマが誰かに向かって走っていった。
「・・・ちょっと!ブーマ!!」
私は走りにくい砂浜の中必死にブーマを追いかけた。
「ちょ・・さしぶりだな。ブーマおばあちゃんと散歩か?」
ブーマは真っ黒で少し長めの髪の背が高い大人の男の人と仲よさげにじゃれていた。
「・・・す、すみません。ブーマこっちおいで!」
ワンっと私の存在に気づき猛ダッシュでこっちに走ってきた。
「あぁ、全然いいよ。俺、こいつと仲いいから」
と男の人が私に向かって話しかけてきた。
「え?あ、名前呼んでましたもんね?」
「君、ブーマのおばあちゃんの孫かなんか?」
「はい、今日からこっちに引越ししてきて・・・と言うても明日から隣の島に行くんですけどね・・」
男の人は無愛想だけど、顔がとてもキレイな人だった。
「ふ~ん?そうなんだ、じゃぁなブーマ。君もまたね」
と男の人は海岸から道路に出て歩いて行った。
「もう!ブーマびっくりしたでしょ?まぁ、人懐っこいから噛まないと思うけど・・・犬怖い人もいるんだよ?」とブーマに少し説教して後遠回りをしながら家に帰った。
「ただいま~」と時計を見るともう7時半になっていた。
「遅かったわね、ブーマも喜んでたでしょ?朝食あるから食べなさいね。」
帰った時にはお母さんは起きててテレビを見ていた。
11時には家を出て寮に行くため急いで朝食を食べ、身支度をする。
「じゃぁ、おばあちゃん、おじいちゃん
お母さんをよろしくね!」
「よろしくって・・・。ふふふ
ふみ、何かあったらすぐに連絡してね?」
「わかってるよ!じゃ。」
と私は隣の島に行く船に乗る。
「じゃぁ、またね~!!!」
と三人に手を振った。
船の乗客は私と運転手さんだけ伸び伸びと30分の船の旅を満喫した。
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