きらら荘の恋模様(仮)


持ってきていた小説を読みながら船旅をする事30分
船は本島に着いた。

「ありがとうございました!」
と、私は船から降りる。

さっきの島とはさほど変わらず
人はあまりいない。
子供が海岸でキャッチボールをしてるのを横目に
道路に出た。
とりあえず、地図アプリを開ききらら荘の住所を入力をして向かおうとした時
「あ、君が七海ふみちゃん?」

声がした方を向くと、男の人がビーチサンダルにジャージで手を振りながらこっちに歩いてくる。
なんともゆるいお兄さんだ。

「あれ?もしかして人違い?きらら荘に今日からくる子でしょ?」

「あ、そうです。七海ふみです。」

「よかった~人違いかと思ったよ。全然反応してくれないから。」

「こんなゆるいお兄さん、
知り合いにいたかな?と考えてまして...」

「ズバッと言うね~。俺もきらら荘の一員!
ま、大学生だけどね~」

どおりで、髪の毛が金髪な訳だ。
でも、顔はカッコイイ...かも。

「ふみちゃん迷うと思うからって
うちの管理人がここの停留所に居てると思うから連れてきてやれってパシられたの俺。」

「あ!そうなんですか、わざわざすみません。」


「って言うても、ここからきらら荘は徒歩15分
すぐだし、全然いいよ。あ、俺の名前そらむね。そらむって呼び捨てでいいから」

じゃ、行こうかとそらむさんは
私の荷物を手に取ってきらら荘まで連れて行ってくれた。

15分の道のりでは、
コンビニの場所やスーパーの場所を口頭で説明してくれた。
初めて来た土地だから全くわかんなかったけど。

「ここだよ、今日から君の家。」

きらら荘は昔ならではの木造の二階建て
入口はレトロなレンガ調になっている。
表札には「きらら荘」と油性ペンで書かれたのが少し消えかかっている。


「思ってた通り古い建物ですが、
入口のレンガはカラフルで可愛いですね。」

「古いでしょ?でも、中はリフォームしてるから案外綺麗だよ。入ろっか荷物は昨日の夜に届いてたよ」

「あ!ありがとうございます。」

「いえいえ」

玄関を開けると中は今どきなフローリングで案外綺麗だっ。

「ふみちゃんは二階ね、女子は二階で
男子は1階になってるんだ。
ここは俺以外に高校生3年の柊木あゆなちゃんとふみちゃんと同じ年の酒匂あらん君が住んでるよ。」


「はい、わかりました。では、自分の部屋を片してきます。
ここまで、わざわざありがとうございます。」

「いーって。じゃね。俺は出かけるから」

とそらむさんは自室?らしき所に入っていった。

私は、言われた通り女子部屋のある二階に上がると
4つ部屋があり手前に[ふみちゃん]と書いてあるドアを見つけた。
その隣には[あゆな]と書かれてる部屋がある。

「ここか・・・・」と扉を開けると
ギーーーっと音がした。

「あぁ・・ここも油をささないとな・・・。」

後ろから聞いたことがある声がして振り返ると
「あ!昨日のお兄さん!」

「どーも、管理人の俺に挨拶なし?」

「え?」

「だからね、ここの管理人俺。
で、今そらむが君が来た事伝えに来たからわざわざ出向いてやったの」

なんとも上から目線な話し方。いや、目上の人なんだけど・・・。

「あ、すみませんでした。先に部屋を片したくて。」

「まぁ、いいよ。君の荷物ずいぶん重かったけど
何が入ってるの?」

「あ、すみません。小説がほとんどです」

「ふ~ん。じゃ、俺仕事あるから。分からない事あればあゆなに聞いて」

とお兄さんは一階に降りていった。

こんな偶然ってあるんだね~と感心しながら
部屋に入ると綺麗な6畳の和室だった。

ちゃんと、畳は綺麗に張り替えてある。

ダンボールの山は端に置かれていた。
窓を開け空気の入れ替えをしながら
せっせと荷物を片した。

気がつくと窓からオレンジの光が差込み
あたりが少し暗くなっていた。

「もう、五時か・・・まぁある程度片付いたしこれでいいかな」
明後日から通う新しい制服もちゃんとハンガーに掛け吊るしておいた。

さて、少し小説でも読もうかなと本のページをめくろうとした時

コンコン
と誰かが扉をノックしている

「はい?」と扉を開けると

目の前には髪の毛が茶色でくるくるに巻いてる
お姉さんが立っていた。ギャルって部類の人だ・・。

「やーん!すっごい可愛い!目クリクリ髪の毛サラサラ~
お人形さんみたいだね!あ、わたし柊あゆな!ふみちゃんの隣の部屋だよ。
高校三年生で一つ年上だけど、仲良くしてね!」

すっごく元気なお姉さんが抱きついてきて自己紹介をしてくれた。

「あ・・・、えっと
七海ふみです。今日から宜しくお願いします」

「やーん!可愛い!本当に可愛い!こちらこそ、よろしくね。ふみちゃん!
で、夕食だから呼びに来たの!」

「あ、ありがとうございます」

「行こう行こう!!!」
と私の手を取り一階のリビングまで降りて行くあゆなさん
唯一の女の人がいい人そうで良かった・・・。





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