きらら荘の恋模様(仮)

リビングに行くと、初めて見る男の人が居た。

「あ!はじめまして。今日からここでお世話になる
七海ふみです。」

私は初めて見る男の人に一礼をした。
そらむさんに聞いた話でここの寮に住んでる人で会ってないのは私と同じ年の男の子だけ。
ってことはこの人は唯一の同じ年!

「あぁ、よろしくな。俺は酒匂あらん、
まぁ同じ年で同じ高校必然的に同じクラスだから。仲良くしよーぜ」

「同じクラスなの?」

「当たり前じゃん、高校全学年1クラスしかねーよ」

「そうなんだ。よろしくね!」

私はあゆなさんの隣の席に座る。
「じゃぁ、ふみちゃん!ここ,きらら荘でもルールを説明します!

まず
1、食事は当番制です。普通の寮は管理人が作るらしいけど私の所の管理人はあんなのだから私達が週ごとにやってます。ふみちゃんはあらん君とペアね!

2、洗濯物は女組と男組で分けてやってます。
月、水、金が女組です。

3、夜11時以降は部屋の行き来禁止!あ、異性のね

4、これが一番守るべきルール!
月末は管理人・・・あ!私達は一ノ瀬先生って呼んでるんだけど
月末の先生はご機嫌斜めだから関わったらダメ!これ絶対!

以上かな。ね?あらん君」

「以上だね。4は絶対。」

「あゆなさん、なんで月末ダメなの?」

「え?ふみちゃん聞いてないの?
一ノ瀬先生モノ書き所謂小説家さんだよ。だから私達も先生って呼んでるの。
で、月末が締切でめっちゃ機嫌悪いの。」

あゆなさんは何かを思い出したかのように蒼白になっている。
あらん君もそこには一切ふれない。
よっぽどな事があったのだろう。私も聞かないでおいた。

「わかりました。必ずしも4は守ります。あ、ほかも守ります」

「よろしい!じゃぁ、ご飯にしよう。今日は私が担当だったの。
簡単なカレーでごめんね?」
と言いながら冷蔵庫からサラダを出し、カレーの入った鍋を温め直してくれた。


そらむさんと一ノ瀬先生は不在で三人で夕食を済ませ
女子が先に風呂を済ませた。

改めて、管理人の一ノ瀬先生に挨拶をしようと
一階に降り一番奥にある先生の部屋の前に立つ。
灯りがついているから部屋にはいるはず、コンコンとノックをすると
「はい」
先生は帰宅されていた。

「あ、七海です。夕食時不在だったので
改めて挨拶を・・・」

「どうぞ」

「おじゃまします。」

部屋は8畳ほどありほとんどが本棚になっている
小説だらけの部屋だった。隅にデスクがありパソコンが乗っている
あとは布団が引いてあるだけの部屋。作家の部屋はズバリこんな感じだろう。

「散らかってて悪いな。」

「あ、いえいえ。急にすみません。
改めて本日からお世話になります。」

「あぁ、律儀だな。」

「あ・・あの、一ノ瀬先生、作家さんなんですね?
私今聞かされて、何を書かれてるのですか?」

「あぁ、君小説好きだったね。」

「はい!!!もう、三度の飯より大好きです。世界観にどっぷりハマってしまうんです。」

「ははっ・・・。ここ一番目が輝いてるぞ、三度の飯よりってさっきから思ってたけどたまに使ってる言葉古いよね」

あ、あの無愛想で上から目線の先生が笑ってる。
キュン・・・・・
え?キュン?ないない。

「私時代物も読むからですかね?よく言われます。」

「この年で時代物も読むのか・・。意外だな。若いのに」

「それもよく言われてました。」

先生との会話はとても弾んで楽しかった。
けど、もう11時になる。

「お邪魔してすみませんでした。では」

「ん、おやすみ」

「おやすみなさい」

先生の部屋を出て自室に戻った。
なんだろう、体温が高い。先生が笑ってるのを見てから?
そんな惚れっぽくはない。
今まで恐らく人並み以上は告白されてきてる。
でも、付き合ったのは一人だけ。

だから、決して私は惚れっぽくはない。

のに、なんでこんなに火照ってるの?






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