雨の日は君と。~先輩の香り~



    ――― side Ritsu ―――





―――――…

―――…




あのあと俺は部屋に入り
親は病院へ、李子は大学へ行った


「じゃあ李月君も医者になるの?」


風和が聞いてくる


「俺はならない」


自分でも驚くくらいはっきりと即答した



親の名前で特別扱いとか
されたくない。
自分の道を決められたくない。

だから、普通のサラリーマンになって
自分だけでできることをしたい。



…なんて誰かに言ったら笑われる

「もったいないだろ。
 せっかく恵まれてるのに」

って呆れた顔をするだろう



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