青い花束

「まあ、オレも女子に荷物持たせるよーな事はしませんよ。」


「え…」


急に女の子扱いされた事にびっくりして、余計に顔が赤くなる。


だって、女の子扱いされる事ってあんまりないんだもん。


圭太だったら「碧!持って!」とか言って、


どんなに重い荷物でも持たしてくるのに。


先生はそんな私に気付いて、またニヤニヤと笑みを浮かべた。


「なに赤くなってんの〜?」


つんつん、と赤くなった頬を突かれる。


「あ、赤くなってなんかない!てか、荷物運ばなくていいの?」


恥ずかしさを隠すようにそう言うと、先生は「はいはい」と言いながら歩き出した。


先生は教室の方向へ行くようなので、私も隣に並ぶ。


「先生って…頭触るの好きだよね。」


私はずっと思っていた事を口に出した。


「ん?そーか?」


「そうだよ!いつも頭撫でられてる気がする。」


「お前、チビだからなあ。目の前に頭があると撫でたくならねえ?」


「ならないし、チビじゃないです〜!」


先生に向けて、イーッと歯を見せた。


そんな事をしていたら、いつの間にか教室の前まで来ていた。


隣にいるはずの先生を見ると、スタスタと教室の前を通り過ぎている。



もしかして、送ってくれた…のかな?



「こ、コケないようにね、先生!」


素直にお礼を言えない私に、先生はひらひらと手を振った。
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